土曜夜市のほろ苦い思い出
夕方、窓を開けると近くの商店街の方から香ばしい匂いが漂ってきました。
そう、今日は「土曜夜市」の日です。
この辺りでは7月に入ると毎週土曜日に商店街で「土曜夜市」が行われるのです。
普段は閑散としている近くの商店街も、この日だけは中高生や親子連れで賑わいます。
子どもの頃住んでいた地域も、夏に「土曜夜市」が行われていて、ほぼ毎週出かけては屋台の物を食べたり、金魚すくいをしたりしたものです。
ふと、日本中でどのくらい「土曜夜市」が行われているのだろう、と思い「土曜夜市」というワードで検索してみました。
すると、近畿・中四国・九州の情報がほとんどであることに気づきました。
もしかして、「土曜夜市」って西日本だけのイベントなのでしょうか?
それとも、「土曜夜市」という名称を使うのが西日本に偏っているのでしょうか?
この辺りの事情、もし詳しい方がいらっしゃれば教えてくださいませ。
さて、「土曜夜市」といえば、忘れられない思い出があります。
小学校1年の頃だったでしょうか。
父と一緒に「土曜夜市」に出かけ、何かおもちゃを買ってもらいました。
すると、優しそうな店主が「おじいちゃんに買ってもらうの?良かったねえ。」と言うのです。
父は当時30代だったのですが、若干頭髪の生え際が後退していたので老けて見えたのでしょう。
私は必死に「おじいちゃんじゃない。お父さんです。」と言ったのですが、ご高齢の店主には聞こえなかったようで、さらに「優しそうなおじいちゃんねえ。」と満面の笑みで語り掛けてくるのでした。
そして、父は「おじいちゃん」と誤解されたまま、そのお店を後にすることになりました。
とはいえ、父は自ら頭髪が薄いことをネタにして笑いを取るタイプなので、大して気にしていないだろう、と思っていました。
ところが、最近、父と「土曜夜市」の話題になった時のこと。
「まろ(私)が小さい時、お店の人がお父さんのことを『おじいちゃん』って言ったの覚えてる?あの時のまろのきまずそうな顔が忘れられなくて…。」と突然の告白。
やっぱり父もあの時のことは忘れていないようです。
「土曜夜市」が始まると、父と気まずい雰囲気の中無言で帰宅したあの日のことをことを思い出すのでした。